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名古屋地方裁判所 昭和56年(行ウ)8号 判決

原告 稲垣襄

被告 中根鎭夫 外一二名

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、岡崎市に対し、各自金七億六〇〇〇万円及びこれに対する被告三島栄太郎及び同奥村昭司については昭和五六年五月一四日から完済に至るまで、その余の被告らについては同月一三日から完済に至るまで、それぞれ年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告は、肩書地に居住する岡崎市の住民であり、被告内田喜久(以下「被告内田」という。)は昭和五五年三月当時、被告中根鎭夫(以下「被告中根」という。)は同五六年三月当時、それぞれ岡崎市長の職にあった者であり、被告中根、同中野千早(以下「被告中野」という。)、同大河内喜代一(以下「被告大河内」という。)、同小栗進(以下「被告小栗」という。)、同大竹敏男(以下「被告大竹」という。)、同成田栄治(以下「被告成田」という。)、同広瀬倉吉(以下「被告広瀬」という。)、同尾藤輝夫(以下「被告尾藤」という。)、同加藤繁行(以下「被告加藤」という。)、同宇野欽也(以下「被告宇野」という。)、同三島栄太郎(以下「被告三島」という。)及び同奥村昭司(以下「被告奥村」という。)は、いずれも同年同月当時訴外岡崎市土地開発公社(以下「公社」という。)の理事の職にあった者である。

2  公社と森永間における本件土地建物等の売買

公社は、昭昭和五五年三月二一日、訴外森永製菓株式会社(以下「森永」という。)から、別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)、同目録二記載の建物及び同目録三記載の工作物(以下「本件建物等」といい、本件土地と合わせて、「本件土地建物等」という。)を代金一八億円で買い受けた。

3  岡崎市と公社間における本件土地建物等の売買

岡崎市は、本件土地建物等を普通財産として所有する目的で、昭和五五年一二月に岡崎市議会の承認議決を得た上で、同五六年三月一七日、公社から本件土地建物等を代金一九億六二二五万二二〇五円(以下「本件売買価額」という。)で買い受ける旨の契約(以下、公社と岡崎市間の本件土地建物等の売買契約を「本件売買契約」という。)を締結し、そのころ、公社に対し、右代金支払のため代金相当額の金員を支出した(以下「本件支出」という。)。

4  本件支出の違法性及び岡崎市の被った損害

(一) 国土利用計画法二三条及び二四条、地価公示法一条の二の趣旨からすれば、岡崎市などの地方公共団体等は、土地を取得する場合には、公示価格を規準として当該土地の取得価格を定めるべき義務(以下「公示価格規準義務」という。)を負うものであるし、また、岡崎市が本件土地を取得する目的は普通財産として所有するためであり、これは土地収用法三条三二号に該当する収用可能な土地であるから、地価公示法九条によっても、公示価格規準義務を負うべきところ、昭和五五年の公示価格を規準として算定した本件土地建物等の適正取得価格は、以下の(1)、(2)に記載の理由により金一一億円弱となり、公社に支払うべき利息その他の諸費用を加算しても金一二億円を超えることはなく、これを金七億六〇〇〇万円余上回る金員を本件土地建物等の取得代金の支払として支出した本件支出は、国土利用計画法二三条及び二四条、地価公示法一条の二の趣旨に反し、また、同法九条にも違反する違法な支出である。

(1) 本件土地上の建物は工場であり、したがって、本件土地の価格を求める場合、最有効使用の原則から、当然本件土地を工場敷地として評価すべきところ、昭和五五年の岡崎市における工場敷地としての標準地五例の公示価格平均値は一平方メートル当たり金三万一七〇〇円であり、本件土地が面積過大で形状が劣るといったマイナス要素を考慮に入れれば、一平方メートル当たり金三万二〇〇〇円を超えることはなく、本件土地上の建物についても、大部分が古い工場であるためその一平方メートル当たりの単価も金三万円を超えることはないというべきである。これを前提に、本件土地建物等の適正取得価格を算定すると、以下のとおり、金一〇億八四四八万二二二〇円となる。

採用規準地価格 1m2当たり金3万2000円

土地面積    2万3501.51m2

採用建物単価  1m2当たり金3万円

建物面積    1万1081.13m2

算式      32,000×23,501.51+30,000×11,081.13=1,084,482.220

(2) また、本件建物等を除去して更地とし、中層店舗や事務所敷地として利用する場合を想定しても、本件土地の昭和五五年の商業地としての公示価格は一平方メートル当たり金六万二〇〇〇円を超えることはなく、これに、面積過大による減価率を〇・八として本件土地建物等の適正取得価格を算定すると、以下のとおり、金一〇億七五六七万四八九六円となる。

採用規準地価格 1m2当たり金6万2000円

土地面積    2万3501.51m2

減価率     0.8

更地化費用   金9000万円

算式      62,000×23,501.51×0.8-90,000,000=1,075,674,896

(二) 仮に、岡崎市などの地方公共団体は、法令上公示価格規準義務を負っていないとしても、地方財政法四条一項により、経費の支出につき、その目的の達成に必要かつ最小の限度を超えて、支出してはならない法的義務を負っているところ、岡崎市が本件土地建物等を取得するに当たって支出した金額は、前項に記載のとおり昭和五五年の公示価格を規準として算定した本件土地建物等の適正取得価格を金七億六〇〇〇万円余も上回るものであるから、本件支出は、必要かつ最小の限度を超えるものであって、地方財政法四条一項に違反し違法である。

(三) 本件支出により岡崎市の被った損害額は、本件売買価額と右適正価格である金一二億円の差額となるところ、多少の誤差を考慮に入れても、金七億六〇〇〇万円を下らない。

5  被告らの責任

被告内田は、昭和五五年三月当時、岡崎市長として本件土地等の取得を公社に指示したが、その際、公社と本件土地等の取得価格を金一八億円とする旨の合意をしたことにより、被告中根は、同五六年三月当時、岡崎市長として、公社との間で本件売買契約を締結して本件支出を命じ、また、公社の理事として、後記のとおり、本件売買契約締結に関与したことにより、被告中野、同大河内、同小栗、同大竹、同成田、同広瀬、同尾藤、同加藤、同宇野、同三島及び同奥村は、いずれも本件売買契約締結当時、公社の理事として、公有地の拡大の推進に関する法律(以下「公拡法」という。)一七条に定められた土地開発公社の業務の範囲に属しない本件売買契約の締結に関与したことにより、いずれも岡崎市に対し前項(三)に記載の損害を与えた。

6  原告の監査請求

原告は、昭和五六年二月一二日、本件支出につき岡崎市監査委員に対し監査請求をしたが、同監査委員は、同年四月八日付で本件支出は違法、不当なものではない旨の監査結果を出し、原告は、同日、その旨の通知を受け取った。

7  よって、原告は、地方自治法(以下「地自法」という。)二四二条の二第一項四号に基づき、岡崎市に代位して、被告らに対し、各自、同市が被った損害金七億六〇〇〇万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日(被告三島及び同奥村については昭和五六年五月一四日、その余の被告らについては同月一三日)から各完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する被告らの認否

1  請求原因1ないし3の事実は認める。

2  同4の事実は否認ないし争う。

3  同5の事実のうち、原告主張の当時被告らがいずれも原告主張の職にあったことは認め、その余の事実は否認する。

4  同6の事実は認める。

5  同7は争う。

三  被告らの主張

1  本件支出の適法性

(一) 岡崎市は、昭和五二年四月に策定された岡崎市新総合計画に基づく地域計画により定められた南部地域の基盤整備及び将来予想される公共事業用地の代替地取得のために必要があるとの判断から、本件土地建物等を取得することとし、昭和五五年一二月開催の岡崎市議会の承認議決を得た上で、本件売買契約を締結し、同契約に基づいて本件支出をしたものである。

本件の場合、国土利用計画法、地価公示法又は公拡法のいずれにおいても、本件土地の取得価格を定めるについて岡崎市の公示価格規準義務を根拠づける規定はなく、また、地方財政法四条一項は訓示規定にすぎないから、本件売買価額の適否についても議会の承認議決を得ている以上違法の問題は生じる余地はなく、本件支出は適法である。

(二) 仮に、本件土地の取得価格の決定について、法令上岡崎市に公示価格規準義務があり、あるいは、地方財政法四条一項により適正な対価を定めるべき法的義務があるとしても、以下のとおり、本件売買価額は、公示価格を規準としたものであり、本件土地建物等の取得価格として適正である。

(1) 公示価格を規準とすることの意味は、昭和四五年二月二三日付建設事務次官通達(建設省計宅政発第三三号~二)によると、「比較の対象として用いる標準地について、その公示価格との関連において当該標準地の価格形成要因の作用を把握し、これに関連する判断を基準として、対象土地の価格形成要因の作用を判断することにより、対象土地の取得価格の算定を行い、もって当該標準地の公示価格と対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう」ものであるが、ここでいう「均衡を保たせること」の意味は、比較の対象となる標準地の公示価格と対象土地の価格との間においてたまたま均衡が保たれていることをいうのではなく、標準地の価格形成要因と公示価格との相関関係から当該価格形成要因が土地の価格形成に及ぼす作用の程度を把握し、その把握結果を対象土地の価格を求める過程での尺度として用いることを意味しており、具体的鑑定作業の過程においては、対象土地の価格を不動産鑑定評価基準に示す鑑定評価の三方式(取引事例比較法、収益還元法、原価法)によって求めるに際し、比較対象となる標準地の価格形成要因を分析、検討し、それと対象土地の価格形成要因との比較検討を経た上で、各方式によって求められた価格を総合調整する方法によって行われているものである。

(2) 本件土地建物等の取得価格も、岡崎市が、事前に不動産鑑定士に鑑定を依頼し、前記(1)に記載の鑑定作業を経た上で得られた鑑定結果(乙第一号証、以下、右不動産鑑定士のした鑑定を「河合鑑定」という。)を参考にしながら、所有者である森永と交渉した結果得られたものであって、公示価格を規準とした適正な価格であると評価し得るものである。

2  公社の業務範囲

公拡法一七条一項一号は、土地開発公社がその目的達成するために業務として行う土地の取得、造成その他の管理及び処分の対象となる土地の種類を定めたものであって、同号イにいう「第四条第一項に規定する土地」とは、同法四条一項の一ないし六号に列挙されている土地の種類自体を指し、同条項により当該土地が都道府県知事に対する届出義務の対象とされているか否かは、同法一七条一項一号イの解釈には影響を及ぼさないというべきである。そして、本件土地が同法四条一項六号に掲げられた土地に該当することは明らかであるから、本件土地の処分は同法一七条一項一号により当然公社の業務範囲に属するものであり、公社の理事の個人責任を問う原告の主張は失当である。

四  被告らの主張に対する原告の認否

1  被告らの主張1について

(一) (一)のうち岡崎市が本件土地建物等を被告ら主張の経過で取得したことは認め、その余の主張は争う。

(二) (二)のうち(2)の岡崎市が本件土地建物等の取得に先立ってその取得価格の鑑定を不動産鑑定士に依頼したことは認め、(2)のその余の主張並びに冒頭及び(1)の主張は争う。

2  被告らの主張2は争う。

五  原告の反論

1  公示価格を規準とすることの意味は、地価公示法一一条にあるように、「対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる一又は二以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因について比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせること」をいうが、ここでいう「均衡を保たせること」の意味は、適切な標準地を選定した上、当該標準地の公示価格を基に、国土庁土地局発行の土地価格比準表に基づき客観的に右選定に係る標準地と対象土地の各価格形成要因を比較して対象土地の価格を算定することをいい、被告主張の解釈は、何ら法文上の根拠を持たない独自の見解であって、失当である。

2  岡崎市が本件売買価額を決定するに際して依拠した河合鑑定は、本件土地のうち一部分のみを実際に鑑定し、その結果を全体に拡大して本件土地の価格を算定しているが、これには、土地の面積が異なれば最有効使用の判定等の基本的要因が異なってくることを看過し、また、公示価格を規準とした価格及び収益価格を、単に取引事例との比準価格に対する若干の下方修正要因としてしか扱っていないなど、その鑑定手法に根本的誤りがある上、近隣地域の選定、標準地の価格水準の把握の不当性、最有効使用の判定と選定された標準地のある地域との乖離など多くの鑑定技術上の誤りがあり、その鑑定結果も不当に高額なものとなっている。

六  原告の反論に対する被告らの認否

すべて争う。

第三証拠〈省略〉

理由

第一争いのない事実

原告が岡崎市の住民であり、被告らが原告主張の地位にあったこと(請求原因1)、公社が昭和五五年三月二一日に森永から本件土地建物等を代金一八億円で買い受けたこと(請求原因2)、岡崎市が同市議会の承認議決を得て昭和五六年三月一七日公社から本件土地建物等を代金一九億六二一五万二二〇五円で買い受ける旨の本件売買契約を締結し、右売買代金の支払として本件支出をしたこと(請求原因3)、原告が原告主張の経過により岡崎市監査委員に監査請求をし、その監査結果の通知を受けたこと(請求原因6)は、いずれも当事者間に争いがない。

第二公示価格規準義務違反の有無

原告は、前記争いのない事実を前提にして、本件土地建物等の取得に当たって、岡崎市は、国土利用計画法二三条、二四条及び地価公示法一条の二の趣旨ないしは同法九条の規定により、本件土地の価格を公示価格を規準として定めるべき義務を負っているところ、これを怠り、本件売買価額を不当に高額に定めたものであるから、本件支出は右国土利用計画法等に違反する違法な支出である旨主張する(請求原因4(一))ので、以下、右主張の当否を含め、本件支出における公示価格規準義務違反の有無について判断する。

一  国土利用計画法二三条、二四条及び地価公示法一条の二について

国土利用計画法二三条一項は、同法一二条に定める規制区域内の土地売買等の契約(同法一四条一項参照)を締結しようとする当事者は、同法一五条一項各号に定める事項を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない旨定め、同法二四条一項一号は、都道府県知事は、右届出に係る土地につき、その所有権移転に対する予定対価の額が、当該土地の公示価格を規準として算定した所有権の価額に照らし、著しく適正を欠く場合には、届出をした者に対し、当該土地売買等の契約の締結を中止すべきことその他届出に係る事項について必要な措置を講ずべきことを勧告することができる旨定めている。しかしながら、同法二三条二項三号は、土地売買等の契約当事者の一方が岡崎市のような地方公共団体である場合には右届出義務を免除しているので、同法二四条一項一号の規定の適用はなく、したがって、本件の場合、岡崎市は、同法二三条、二四条の規定により公示価格規準義務を負うものではない。

次に、地価公示法一条の二は、「都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行うよう努めなければならない」と規定するが、同条の規定が該当地域の土地取引者一般に対する訓示規定であることは法文の表現自体からも明らかであるから、岡崎市は、同条の規定により公示価格規準義務を負うものでもない。

もっとも、原告は、国土利用計画法二三条、二四条及び地価公示法一条の二の規定の趣旨から、岡崎市が本件土地の取得につき公示価格規準義務を負う旨主張するのであるが、右規定の趣旨は、これらの法律が明文をもって公示価格規準義務を負うとしたもの以外については、土地価格が公示価格を指標として定められることは当然望ましいものの、その実現は取引当事者の自主的努力に委ねたものと解するのが相当であるから、原告の右主張は採用することができない。

二  地価公示法九条について

原告は、また、本件土地は岡崎市が普通財産として所有するため取得したものであり、土地収用法三条三二号により同法による収用が可能な土地であるから、地価公示法九条により公示価格規準義務を負う旨主張し、いずれも成立に争いのない甲第三号証、甲第七号証の一、二並びに証人藤枝時夫の証言及び同証言により真正に成立したものと認められる乙第二、第三号証によれば、岡崎市は、本件土地を取得するに当たって、それを公共事業用地の代替地等として利用する構想は持っていたものの、具体的な土地利用計画が定まらないまま、単に普通財産として所有するために取得したものであることが認められる。

ところで、右にいう「普通財産」とは、行政財産以外の財産、すなわち、地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することを決定した財産以外の財産をいうものであるところ、土地収用法三条三一号は公用物、同条三二号は公共用物を指し、いずれも行政財産として取得する場合をいうのであって、普通財産として取得する本件土地は含まれないのであるから、普通財産として所有することを目的とした本件土地の取得には地価公示法九条の規定も適用されないと解するのが相当であり、原告の右主張も採用することができない。

三  公拡法七条について

なお、公拡法七条の適用の有無について付言するに、地方公共団体等が「届出等に係る土地」を買い取る場合には地価公示法六条の規定による公示価格を規準として算定した価格をもってその価格としなければならない旨定めているが、これは、公拡法四条一項により土地の所有者が当該土地を有償譲渡しようとする場合に都道府県知事に対する届出が義務付けられている土地又は同法五条一項により土地の所有者から都道府県知事に対する買取希望の申出があった土地、すなわち、「届出等に係る土地」について、同法四条一項の届出又は同法五条一項の申出があった場合に、地方公共団体等が当該土地の買取りの協議(同法六条一項参照)において、地価公示法に定められた公示価格を規準として買い取るべき旨を規定したものであるところ、本件全証拠によっても、本件土地について右届出等が行われ、それに基づいて買取りの協議が行われたことを認めることはできないのであるから、公拡法七条によっても、岡崎市が公示価格規準義務を負うことはない。

四  小括

以上のとおり、原告の前記主張はいずれも失当であり、岡崎市は、本件土地の取得価格を定めるにつき公示価格規準義務を負うものではないというべきである。

第三地方財政法四条一項違反の有無

次に、原告は、前記争いのない事実を前提にして、本件土地建物等取得に当たって、岡崎市は、地方財政法四条一項により、経費について、その目的の達成のために必要かつ最小の限度を超えて支出してはならない法的義務を負っているところ、これを怠り、本件売買価額を不当に高額に定めたものであるから、本件支出は同項に違反する違法な支出である旨主張する(請求原因4(二))ので、以下右主張の当否について判断する。

一  地方財政法四条一項について

1  立法趣旨及び法的性質

地方公共団体の経費は、同法三条一項に基づき、「法令の定めるところに従い、かつ、合理的な基準によりその経費を算定」され、予算に計上されるものであるが、本来歳出予算は執行機関に支払を可能ならしめ、かつ、支出の最高限度額として執行機関を拘束するものであって、支出額自体を定めるものではない。しかしながら、予算編成後の情勢の変化により、当初定めた額に満たない額をもって目的を達成することができる場合において、漫然と予算額全額を支出することは、地自法二条一三項所定の「最小経費による最大効果」の原則に照らして妥当でない。地方財政法四条一項は、かかる場合に、予算執行機関は、漫然と予算に定められた全額を支出すべきではなく、当該経費の支出目的の達成に必要かつ最小の限度で予算を執行すべきである旨を定めたものであって、地自法二条一三項所定の原則を予算執行の立場から簡潔に表現し、もって、地方公共団体の予算執行を規制する規定であると解される。

ところで、被告は、本条項は単なる訓示規定に過ぎず、地方公共団体に法的義務を負わせるものではない旨主張(被告の主張1(一))する。確かに、本条項の規定は簡潔なものにとどまっている上、予算額は当該目的を達成するのに必要な額として定められているのが通常であり、予算額の範囲内でどれだけの支出をすれば所期の目的を達成することができるかは、原則として、予算執行機関の裁量的判断に委ねられた事項であるから、予算額の範囲内で予算の執行がなされた場合、通常は本条項違反の問題は生じないと解される。しかしながら、予算の執行に当たっては、個々の具体的な事情に基づいて判断し、最も少ない額をもって目的を達するように努めるべきことは、執行機関に課せられた当然の義務であるから、予算編成後の情勢の変化により当初定めた予算額より少ない支出で所期の目的が達成できることが明らかとなったにもかかわらず、予算執行機関が漫然と不当に多額の支出をしたような場合には、予算額執行機関は、本条項に違反した違法な支出をしたものというべきであり、この限りにおいて、本条項は予算執行機関に法的義務を課したものと解するのが相当であり、これに反する右被告の主張は採用することができない。

2  具体的義務内容

そこで、本条項違反の有無を判断する基準が問題となるが、前記立法趣旨に照らせば、具体的な予算執行が本条項違反となるか否かは、結局、個々の事案の具体的事情に基づいて、社会的、経済的及び政策的見地から総合的にみて、支出目的の達成に必要かつ最小の限度を明らかに超えているか否かによって判断されるべきものであり、これを本件に即していえば、本件土地建物等の経済的価値、本件土地建物等を取得することの必要性、相手との交渉の経過等の具体的事情を考慮に入れた上、本件土地建物等の価格が一般の取引通念に照らして著しく高額であって適正を欠くと判断される場合には、本件支出は本条項に違反する違法な支出であることになる。

なお、本件土地の価格が公示価格を規準として定められたものであるか否かは、本件土地の経済的価値を判断する際に考慮すべき一要素にすぎず、仮に、本件土地の価格が公示価格を規準として定められたものではないと判断される場合であっても、そのことから直ちに本件支出が本条項に違反する違法な支出と判断されることにはならない。

二  本件支出の経緯と地方財政法四条一項違反の有無

前記一の解釈を前提に、本件支出が地方財政法四条一項に違反するものであったとする原告の主張の当否について判断する。

1  本件支出に至る経緯

当事者間に争いのない請求原因2及び3の各事実及び前記第二の二に掲記の各証拠、成立に争いのない乙第四号証、証人河合元三の証言及び同証言により真正に成立したものと認められる乙第一号証、証人野崎優の証言、鑑定人野崎優の各鑑定結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められ、後記認定に反する証拠はない。

(一) 森永は、昭和五四年一二月ころ、経営合理化のため同社岡崎工場を閉鎖することにし、そのころ、従来同工場として使用していた本件土地建物等を売却する意向を明らかにした。

(二) 岡崎市は、昭和五二年四月ころから岡崎市新総合計画を策定し、その中で、南部地域の基盤整備として、国鉄(現在の東海旅客鉄道株式会社。以下同じ。)岡崎駅周辺の土地区画整理事業の実施、岡崎駅南部の農村地域、商店街部の整備、コミュニティ活動の場の整備を計画していたところ、右計画の実施に伴い今後生じるであろう公共施設の敷地等の確保のため、あるいは、当時進行中であった岡崎駅周辺土地区画整理事業の実施に伴って減歩不能の過小宅地が生じていたところ、この宅地の減歩相当分に対応する代替地の確保のために、本件土地建物等を取得しておくことが有益であるとの判断に至った。

(三) そこで、岡崎市は、昭和五四年一二月ころ、森永に対し、本件土地建物等の買取りを申し入れ、森永も、本件土地建物等につき、それらを現状有姿のままで売却するが、本件建物等の価格は本件売買価額に加えず、逆に、本件建物等の除却費用を本件土地の価格から控除した価格をもって本件売買価額とする条件で売却に同意したので、具体的に右買取価格を定めるため、本件建物等の除却費用を控除した本件土地の価格の鑑定を訴外カワイ鑑定事務所(以下「訴外鑑定事務所」という。)の河合元三不動産鑑定士(以下「河合鑑定士」という。)に依頼し、これを受けて、河合鑑定士は、昭和五五年二月一五日付で、河合鑑定(乙第一号証)を提出した。

(四) 河合鑑定の内容は、以下のとおりである。

(1) 標準的画地の選定

本件土地の鑑定を実施するに当たっては、鑑定費用の点を考慮し、本件土地を三部分に分け、各部分から標準的画地を選定してその価格を算定し、それから全体の価格を推定する方法を採用することにし、本件土地を甲地(総面積五〇六七・二七平方メートル。グランド用地として使用)、乙地(総面積一万四七六二・八九平方メートル。工場用地として使用)及び丙地(総面積三六七一・三五平方メートル。厚生施設用地として使用)に分け、その標準的画地として、甲地から別紙物件目録一記載の符号(1)の土地(以下「1号物件」という。)を、乙地から同目録記載の符号(4)の土地(以下「2号物件」という。)を、丙地から同目録記載の符号(16)の土地(以下「3号物件」という。)をそれぞれ選定した。

(2) 地域分析

〈1〉 近隣地域

(A地域)

A地域は、岡崎警察署付近(国道二四八号線バイパスとの交差部)から南下し、羽根交差点に至る国道二四八号線沿線を主体とする地域で、別表1―2に記載の愛知県地価調査基準地(以下「県基準地」という。)「岡崎(県)5―11」、1号及び2号物件並びに別表2―1に記載のイ事例がある。標準的使用は、三〇〇平方メートルの敷地の中層の事務所等の業務用地であり、地価水準は一平方メートル当たり金八万円で、法的規制は、近隣商業地域で、建ぺい率八〇パーセント、容積率は二〇〇ないし三〇〇パーセントの準防火地域である。

(E地域)

次に、E地域は、右A地域の東に隣接し、国道二四八号線バイパスに至る地域で、3号物件、別表2―2に記載のへ、ト及びチ事例並びに同表に記載の収益事例Bがある。標準的使用は、二〇〇ないし二五〇平方メートルの敷地の個人低層住宅用地であり、地価水準は一平方メートル当たり金五万円ないし五万五〇〇〇円であり、法的規制は、北部は工業地域、南部は住宅地域又は準工業地域であり、建ぺい率六〇パーセント、容積率二〇〇パーセントである。

〈2〉 類似地域

(B地域)

B地域は、A地域の北に隣接する国道二四八号線沿線の名鉄名古屋本線陸橋に至る間を主体とする地域で、別表1―2に記載の県基準地「岡崎(県)5―10」及び別表2―1に記載のロ事例がある。A地域とほぼ同じ地域性を有するが、地価水準はA地域を一五パーセント程度上回る。

(C地域)

C地域は、B地域の北に隣接し、殿橋に至る国道二四八号線沿線を主体とする地域で、別表1―2に記載の県基準地「岡崎(県)5―9」及び別表2―1に記載のハ事例がある。岡崎市都心部の一角を形成し、地価水準はA地域の二・五倍以上と判定される。

(D地域)

D地域は、岡崎警察署付近で交差する国道二四八号線沿線を範囲とする地域で、別表2―1に記載のニ及びホ事例並びに収益事例Aがある。熟成過程にある新興路線商業地域として利用度の向上が著しく、地価水準はA地域を一〇パーセント程度上回る。

(F地域)

F地域は、県道岡崎刈谷線のうち国鉄東海道線との交差部から西進し、占部用水路に至る沿線地帯を主体とする地域で、別表1―1に記載の地価公示法に基づく標準地(以下「標準地」という。)「岡崎7―5」並びに別表2―2に記載のリ及びヌ事例がある。地価水準は県道沿いについてはE地域より一五パーセント上回るが、北部地区はほぼ同等と判定される。

(3) 個別分析

〈1〉 各物件の位置

1号、2号及び3号物件は、いずれも国道二四八号線と県道岡崎刈谷線の交差部を中心として位置し、国鉄岡崎駅の北北東約七〇〇メートル、名鉄東岡崎駅の南南西約二・七キロメートルにある。

〈2〉 1号物件

幅員二四メートルの国道二四八号線に、接面間口約四一・五メートルで東面し、幅員一一メートルの県道岡崎刈谷線に接面間口約二七メートルで北面する三角形地で、建ぺい率八〇パーセント、容積率三〇〇パーセントの近隣商業地域であり、最有効使用は、中層店舗ないし事務所の敷地である。

〈3〉 2号物件

国道二四八号線と県道岡崎刈谷線の交差部の東約七〇メートルに位置し、幅員二〇メートルの接面間口約二五メートルで北面する奥行平均約一一・三メートルの台形地で、建ぺい率六〇パーセント、容積率二〇〇パーセントの準工業地域であり、最有効使用は、中層店舗、事務所の敷地である。

〈4〉 3号物件

国道二四八号線と県道岡崎刈谷線の交差部の南東約一六〇メートルに位置し、幅員約四・五メートルの市道に接面間口約二〇メートルで東面する奥行約二一・五メートルのほぼ長方形地で、建ぺい率六〇パーセント、容積率二〇〇パーセントの準工業地域であり、最有効使用は個人低層住宅の敷地である。

(4) 価格の算定

〈1〉 地域要因等の標準化補正指数の算定

前記の地域分析の結果に基づき、別表4―1、2に記載のとおり、本件各物件のあるA地域と他の地域との要因比較をした上、地域要因の標準化補正指数を算出し、前記個別分析の結果に基づき、別表5―1ないし3に記載のとおり、個別的要因の標準化補正の指数を算出した。

〈2〉 比準価格

1号及び2号物件については、別表1―2に記載の県基準地「岡崎(県)5―11」、「岡崎(県)5―10」、「岡崎(県)5―9」を基準として、別表2―1に記載の各取引事例を採用し、3号物件については、別表1―1に記載の標準地「岡崎7―5」を基準として、別表2―2に記載の各取引事例を採用し、1号物件については別表3―1(1)に記載のとおり、2号物件については別表3―1(2)に記載のとおり、3号物件については別表3―1(3)に記載のとおり、それぞれ時点修正、事情補正等のほか〈1〉で算定した個別要因の標準化指数及び地域要因の標準化指数による補正を加えた結果、各物件の一平方メートル当たりの比準価格は1号物件について金八万九七〇〇円、2号物件について金七万二九〇〇円、3号物件について金六万一二〇〇円と算定された。

〈3〉 収益価格

1号及び2号物件については別表2―1に記載の収益事例Aを、3号物件については別表2―2に記載の収益事例Bを採用し、1号物件については別表3―2(1)に記載のとおり、2号物件については別表3―2(2)に記載のとおり、3号物件については別表3―2(3)に記載のとおり、それぞれ時点修正、事情補正等のほか〈1〉で算定した個別要因の標準化指数及び地域要因の標準化指数による補正を加えた結果、各物件の一平方メートル当たりの収益価格は、1号物件について金六万九四〇〇円、2号物件について金五万六四〇〇円、3号物件について金三万一二〇〇円と算定された。

〈4〉 公示価格のみに基づく試算価格

1号及び2号物件については、別表1―2に記載の県基準地「岡崎(県)5―11」、「岡崎(県)5―10」、「岡崎(県)5―9」を基準とし、3号物件については、別表1―1に記載の標準地「岡崎7―5」を基準として採用した上、1号物件については別表3―1(1)に記載のとおり、2号物件については別表3―1(2)に記載のとおり、3号物件については別表3―1(3)に記載のとおり、それぞれ時点修正、事情補正等のほか〈1〉で算定した個別要因の標準化指数及び地域要因の標準化指数による補正を加えた結果、各物件の一平方メートル当たりの公示価格のみに基づく試算価格は、1号物件について金七万六〇〇〇円、2号物件について金六万一七〇〇円、3号物件について金五万四〇〇〇円と算定された。

(5) 価格の調整

以上〈2〉ないし〈4〉の各価格のうち、比準価格は信頼性が高く規範性に富む資料から試算したもので、常に変動する地価趨勢を動的に把握するものであるから、最も説得力に富むものとして重視することとし、これに他の価格も勘案した結果、各物件の適正価格を、1号物件については一平方メートル当たりの単価金八万七九〇〇円、全体価格金五三五七万五〇〇〇円、2号物件については一平方メートル当たりの単価金七万一四〇〇円、全体価格金二〇二四万円、3号物件については一平方メートル当たりの単価金五万八一〇〇円、全体価格金二五〇一万四〇〇〇円と算定した。

(6) 全体価格の算定

別表6―1、2に記載のとおり、1号物件と甲地、2号物件と乙地、3号物件と丙地の個別要因の比較をした上、次の算式のとおり、各物件の単価に個別要因の標準化補正をした上、各画地の面積を乗じて、各画地の適正価格を算定すると、甲地につき金四億四五九二万円、乙地につき金一二億七四〇三万七〇〇〇円、丙地につき金二億〇一九二万四〇〇〇円と算定され、これから各画地の合計価格を求めると金一九億二一八八万一〇〇〇円と算定された。

(算式)

甲地 ¥87,900×117.7÷117.6≒¥88,000/m2

¥88,000×5,067.27m2≒¥445,920,000

乙地 ¥71,400×115.6÷95.6≒¥86,300/m2

¥86,300×14,762.89m2≒¥1,274,037,000

丙地 ¥58,100×94.6÷100≒¥55,000/m2

¥55,000×3,671.35m2≒¥201,924,000

(五) 岡崎市は、右河合鑑定の結果を参考にした上、森永と本件土地建物等の売買価額を協議した結果、金一八億円とすることで合意ができたため、昭和五五年三月三日、公社に右金額で本件土地建物等を先行取得するよう指示し(乙第二号証)、これを受けた公社は、公社内での協議を経た上(乙第三号証)、同月二一日、森永との間で本件土地建物等を代金一八億円で購入する旨の契約を締結して(乙第四号証)、これを取得した。その後、岡崎市は、同年一二月一〇日、開催中の同市定例市議会に本件土地建物等を普通財産として所有するため、右代金額に金利相当分を付加した代金一九億六二二五万二二〇五円以内で公社から買い入れる旨の議案を提出して、その承認を得た上、翌五六年三月一七日、公社から本件土地建物等を代金一九億六二二五万二二〇五円で購入する旨の契約を締結し、そのころ、公社に対し、右代金の支払として本件支出をした。

(六) なお、不動産鑑定士野崎優(以下「野崎鑑定士」という。)は、当裁判所の鑑定人として、昭和六二年七月三一日、本件土地の昭和五五年三月二一日及び同五六年三月一七日の各時点における不動産鑑定評価基準に基づいた正常価格並びに当該価格を前提とした本件土地の公示価格を規準とした価格の鑑定を命ぜられ、昭和六二年一〇月五日、右鑑定事項に対する鑑定書を当裁判所に提出したが、その鑑定結果において、野崎鑑定士は、本件土地の昭和五五年三月二一日時点での正常価格を金一四億五八六五万円、これを前提にして算定した公示価格を規準とした価格を金一四億二五〇〇万円、昭和五六年三月一七日時点での正常価格を金一五億三一五九万円、これを前提にして算定した公示価格を規準とした価格を金一四億九七〇〇万円と算定した。

2  本件支出の具体的当否

以上の認定事実を前提にして、本件支出が地方財政法四条一項に違反するか否かについて判断するに、本件売買価額は野崎鑑定士の鑑定した本件土地の価格より三割程度割高であることが認められるのであるが、他方、岡崎市は南部地域の基盤整備計画の実施に伴い今後生じるであろう公共施設の敷地等の確保のために、あるいは、当時進行中であった岡崎駅周辺土地区画整理事業の実施に伴って必要とされる代替地の確保のために、本件土地建物等を取得しておくことが同市にとって必要かつ有益であったこと、岡崎市は本件土地の取得価格を定めるに先立って訴外鑑定事務所に本件土地の正常価格の鑑定を依頼したこと、訴外鑑定事務所の河合鑑定士は、上掲のとおりの手法を用い、かつ、各標準的画地の正常価格の算定に当たっては不動産鑑定評価基準に則って本件土地の正常価格を金一九億二一八八万一〇〇〇円と算定し、これを岡崎市に報告したこと、岡崎市は河合鑑定の結果を参考にして森永と本件建物等の売買価額の交渉をした結果これを金一八億円とすることで合意ができたため、右金額で公社に先行取得させ、その後公社から本社土地建物等を右代金額に金利相当額を付加した代金一九億六二二五万二二〇五円で取得することについて市議会の承認を得た上これを取得し、代金の支払として本件支出を行ったことを認めることができるのであるから、右のような本件土地取得の必要性、上述した本件土地建物等の売買価額決定に至る経緯、相手方との交渉の経緯等の具体的事実を総合して考慮すると、本件売買価額が一般の取引通念に照らして著しく高額であって適正を欠くとまでいうことはできず、岡崎市が本件土地建物等を取得するために行った本件支出は、地方財政法四条一項に違反する違法な支出であると評価することはできない。

三  小括

したがって、本件支出が地方財政法四条一項に違反するとの原告の主張にも理由がなく、他に本件支出が違法であると認めるに足りる主張、立証はない。

第四結論

以上の次第であって、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、訴訟費用については行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 浦野雄幸 杉原則彦 岩倉広修)

別紙物件目録一、二、別表1~6〈省略〉

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